9月19日は、「苗字の日」です。
今回の話題は、「苗字の日の由来」「苗字、名字、姓、氏、それぞれの意味は?」「日本で多い名字と珍しい名字」です。
苗字の日と苗字制定記念日の違いについては、「苗字の日の由来や意味」でお伝えします。
どうぞご覧ください。
苗字の日の由来や意味
「苗字の日」として伝わっているのは、9月19日。
「苗字制定記念日」は、2月13日です。
2つの違いについてですが、一般市民も苗字を持つことが「許された」日、というのが「苗字の日」です。
こちらは、「平民苗字許可令」が定められた日です。
1870(明治3)年、太政官布告により一般市民も苗字を持つことが許されたのです。
しかし、一般市民は苗字がなくても不自由しないので、苗字を名乗ろうとしなかったのです。
それで、義務付けられたのです。
平民苗字必称義務令(へいみんみょうじひっしょうぎむれい)が定められたのは、1875(明治8)年2月13日。
これによって、2月13日は「苗字制定記念日」となっています。
苗字・名字・姓・氏の意味
苗字と名字の違い
まずは、苗字と名字の違いを整理します。
現在は、どちらも使いますよね。
「名字」が使われた時代
「名字」と書くのは、奈良時代あたりから安土・桃山時代まで使われていたと伝えられています。
「苗字」が使われた時代
江戸時代になって「苗字」と書くようになり、「名字」は使われなくなったそうです。
しかし今度は、「苗字」が使われなくなります。
当用漢字表(昭和21年11月5日に国語審議会が答申し、同年11月16日に内閣が告示)がポイントになります。
当用漢字表に、「苗」に「みょう」という読み方がなかったようで、それで再び、「名字」と書くようになった!というのが広まっている話です。
「苗字」も「名字」も使われる時代
公的に「名字」のほうが使われるようになるのですが、「苗字」という書き方も根強く使われ続けます。
その結果、「苗字」も「名字」も使われるようになっているということのようです。
参考までに、「当用漢字表」は1981年(昭和56年)の「常用漢字表」の告示に伴い廃止されています。
「姓」は天皇から授かるもの
「姓」は、「天皇から氏族の長である氏上に与えられた尊称」「姓は役職・地位を表す名前」という認識が一般的です。
「姓」は「かばね」または「カバネ」で調べてみてください。
歴史上の人物のことがたくさん出てきます。
「カバネ - Wikipedia」の「カバネの制度化』を見ると、
・・・・、公・君(きみ)、臣(おみ)、連(むらじ)、直(あたい)、首(おびと)、史(ふひと)、村主(すぐり)などが定められた。この改革により以前のワケ(和気、別)はキミ(君、公)姓に、国造・県主はアタイ(直)姓に改められた。臣連制の中で最も有力な者には更に大臣(おおおみ)、大連(おおむらじ)の姓が与えられた。その他のカバネとしては、百済滅亡後に帰化した百済王族に与えられた王(こにきし)などがある。
これらの「姓(カバネ)」は一部のようです。
有名な人物で例をあげておきます。
蘇我馬子は、「カバネ 」を入れると「蘇我大臣馬子」となります。
広い範囲で歴史を調べると、「姓(カバネ)」は「東アジアの漢字文化圏で用いられる血縁集団の名称」となっています。
中国の影響で、日本で使われるようになったという見方もあります。
現在は、「姓」も「名字」と同じ意味で使われています。
氏は法律的な表現?
「氏名 - Wikipedia」 からの引用
氏名(しめい)は、人名を構成する氏と名である。現在、一般に「姓」や「名字(苗字)」と呼ばれているものの法律上における表現が「氏」である(ただし、歴史的にはそれぞれ意味を異にしている)。
たとえば、「夫婦別氏制度」と言いますよね、
法律関連の文章では、「男性の氏を選び,女性が氏を改める例が圧倒的多数です」という具合になっています。
歴史的な「氏」はどうでしょう。氏は「うじ」と読まれますよね。
先ほどの「カバネの制度」の「カバネ」は、「氏上(うじのかみ」に与えられたとされています。
「カバネの制度」のころの話で言うと、「氏は、それぞれの土地で力を持った豪族の血族集団、同族集団の家のこと」となっています。
氏は、「豪族の血族集団、または同族集団」の「家」の目上の人から名付けられるものだったそうです。
「同じところ(地域)に住んでいる人々」という意味合いが強いのでしょうね。「地元意識」という感じなのでしょうか。
今でも、地元の神社のことを「氏神様」などと言います。
先ほどの「姓(カバネ)」は天皇から与えられるものでした。
やがて、平安時代には「氏」と「姓」の差はなくなってしまったようです。
日本で多い名字と珍しい名字
名字の9割は、地名に由来するそうです。
ルーツを探ると多くの家系は、「藤原」「源」「平」にたどりつくとのことです。
その中でも、「藤原」「源」「平」のどこにも出てくる名字があります。
たとえば、「田中」です。
そこで、あらためて「日本で多い名字」と「珍しい名字」を調べてみました。
多い名字ランキング
参考にさせていただいたのは、
「全国名字ランキング|名字検索No.1/名字由来net|日本人の苗字・姓氏99%を掲載!!」です。
1位:佐藤 およそ1,880,000人
「藤」という字は、「藤原」であることの証しとなります。
「左」は、「左衛門尉(さえもんのじょう)の職名を表している」と考えられています。
2位:鈴木 およそ1,802,000人
「発祥の地」と言われているのは、「紀伊半島の熊野」です。
和歌山県ですね。
歴史の読み物では、「熊野」は、「イザナギ」と「イザナミ」のひ孫である「饒速日命(ニギハヤヒノミコト)」の子孫が移り住んだ場所となっています。
そこに熊野神社を建て、行われた儀式に、「稲穂を高く積みあげ、真ん中に一本の木を立てる」というのがあり、その木が由来になり「鈴木」となったとのことです。
「スス」は「聖なる」という意味。
「ススキ」は聖なる木です。
儀式を取り仕切る人は「ススキ」と呼ばれるようになり、それが変化して「スズキ(鈴木)」となったというお話です。
3位:高橋 およそ1,416,000人
「高橋」姓のルーツと考えられているのは、日本書紀に「神に酒を捧げる者」として登場する人物です。
大和国添上郡の高橋神社(奈良県奈良市八条町)を氏神としていたとのことです。
住んでいるところの特徴にちなんで、自分たちから名乗り始めた「高橋」のほうでは「高い橋、高い柱」を意味すると言われています。
渓谷など高い場所にかけられた橋に由来する「高橋」などですね。
また昔の人々にとっては、川に高い橋を架け二つの地域を結ぶことは大きな願いでもあったことも関係しているようです。
さらに、天と地を結ぶために柱を立てることは祭祀の一つであり、「高橋氏」は職掌も司っていたというお話もあります。
珍しい名字
面白い名字という意味ではなく、少ない名字ということで紹介します。
お笑いコンビ(銀シャリ)の「鰻」さんも少ないそうですね。
ルーツは、「鹿児島県指宿市山川町の鰻池周辺にある鰻村集落」だそうです。
「名字由来net」のデータでは、「20名」と出てきます。
漫才では、「鰻家では、代々ウナギを食べてはいけないという伝統の言い伝えがある」と言っていますよね。
女優の榮倉奈々さんの「榮倉」も少ないそうです。
嫁いだので一人減ったということになりますね。
「名字由来net」のデータでは、人数は「調査中」とのことです。
芸能関連の記事によると、数年前の電話帳を見ると6軒ほどあり、すべて「栄倉」で、「榮倉」の登録はなかったとのこと。
榮倉奈々さんの生まれは鹿児島県肝属郡肝付町岸良です。
「名字由来net」のデータでは、「栄倉」という字でも「90人」となっています。
以下は、10名ほどしかいないと思われる名字のほんの一部です。
<参考:「名字由来net」>
熊狼
【読み】くまおか
雨井
【読み】あめい
戸耒
【読み】へらい,とらい
一児島
【読み】いちこじま
固谷
【読み】こたに
久々他
【読み】くくた
まとめ
珍しい名字については、謎だらけです。
地域文化研究や名字研究、家系図研究などの本だけでも無数にあるので、ご本人の「言い伝え」が聞きたくなりますね。