お彼岸のお供え物には菓子折りを。
菓子折りはすぐに傷むわけでもなく、個包装されているということもあって、お供え物としては人気ですね。
また、春の彼岸には牡丹餅、秋の彼岸にはおはぎをお供えするというのも一般的です。
あまり手をかけたくないという場合には、デパートやスーパーマーケットから、こういったお菓子を買ってきてお供えすることが多いでしょう。
しかし、せっかくの年に2回のお彼岸、どうせなら真心こめて作った食べ物をお供えして、故人に感謝の意を最大限示したいなんていう方も少なくないのではないでしょうか。
そんな時、割と簡単に作ることができ、なおかつ供養の意味合いも強く込められている団子を作ってみてはいかがでしょうか!
この記事では、その団子に着目をして、「お彼岸に団子を供える意味や由来」「お彼岸団子のお供えの仕方」「団子の作り方と美味しい食べ方(いつ食べるのが良いのか)」という流れで説明をしていきます!
お彼岸に団子をお供えする意味や由来

胡麻団子
冒頭述べましたように、お彼岸のお供え物としては、牡丹餅やおはぎが全国では一般的です。
しかし、一部の地域では、団子をお供え物とする習慣もあります。
その団子の種類も様々で、丸いボールのような団子を山のように積んでお供えしたり、丸くて平たいフリスビーのような団子をお供えしたりと、地域ごとの独自の風習があります。
お彼岸に団子を供える意味は、次のようなものがあるとされています。
・仏様の長い旅路の疲れを癒すため
・現実世界の私たちと同じものを食べることで、つながりを感じるため
・団子を供えることで、日々不自由なく食事ができていることの感謝を示すため
・再びあの世へ帰っていく仏様の手土産としてもらうため
団子は常日頃から、お供えするものではありません。
お彼岸という1年の中での限られた時期だけにお供えをすることで、仏様にも非日常の気分を味わっていただき、慰労するという考え方でしょう。
我々も、いつもと違う食事をしたり、珍しいところに旅行に行った友人からお土産をもらったりすると、心が高揚するものですからね。
そして、お彼岸になぜ団子を供えるようになったのか。その由来としては、以下のような説があります。
昔、お米が十分に生産できなかったころ、人々はサトイモを主食としており、そのサトイモがお供え物として利用されていました。
しかし、サトイモは季節によっては入手しづらい時もあります。
そういった時期は、サトイモに見立てた団子を作り、それをお供えするようにしていたのです。
農耕が発達し、お米の大量生産、そして貯蔵が可能となると、現代のように仏前にはお米をお供えするという習慣ができてきます。
しかし、地域によっては昔のまま、団子をお供えする習慣が残っているようです。
このような背景から、一部の地域ではお彼岸に団子をお供えするのです。
お彼岸団子のお供えの仕方

串団子
春分の日、秋分の日を含む前後3日間(お彼岸)の最初と最後の日に、団子を供えるのが一般的です。
お彼岸の最初の日を「彼岸入り」、最後の日を「彼岸明け」と言い、彼岸入りに供える団子を「入り団子」、彼岸明けに供える団子を「明け団子」と言います。
お供えする団子の数ですが、特に決まりはありません。
地域によって習慣は異なりますし、さらに言えばお供えする人の任意でもあります。
仏様が生前、大変な食欲旺盛な方でいらっしゃったのであれば、多めに用意してお供えするのがいいでしょう。きっとその数だけ喜んでくれるはずです。
少食だったのでしたら、食べても苦しくならない程度の数でいいでしょう。
しかし、仏様自身に召し上がっていただくというだけではなく、手土産として持って行ってもらうという意味もあります。
その意味では、多めに作っておいてもいいかもしれませんね。
なお、数が10個以下くらいの少ない数であれば、円形に配置し、最後に1つだけを上に乗せるという形が一般的です。
6個であれば、上から見たときに梅の花に見えるような形になるため、非常に綺麗になります。
仏教の六道にまつわる数字であることからも、6個お供えするというのは割と一般的です。
数が多くなると、2段、3段というように団子を積み重ねていき、円錐や三角錐を作るようにしていきます。
この時、団子の形や大きさがバラバラだと、バランスの悪く今にも倒壊しそうな三角錐ができてしまうかもしれないので、注意が必要です。
そして、仏壇にお供えする際には高杯(足のついたお皿)に乗せます。
高杯がなければ普通のお皿でも構いません。
しかし、そのまま団子を乗せるのではなく、まずは懐紙を敷き、その上に団子を置きましょう。
ここまで準備ができましたら、あとはお供えをするだけです。
しかし、大きな注意点が1つあります。
特に、団子を多めに作って、三角錐型に配置した際の注意です。
それは三角形の頂点部分を仏様に向けないようにすることです。
必ず辺の部分を仏様に向けるということに注意をしましょう。
人に指を指すのがいけないのと同じようなイメージですね。
頂点部分を向けてしまうと、仏様に失礼を与えることになってしまいます。
お彼岸団子の作り方レシピ

あんとみたらしの団子
実際にお彼岸団子の作り方を紹介します。
上述のように、団子は上に積み重ねてお供えすることになるので、できるだけ固く型崩れしにくい粉を使用することがポイントです。
そのため、もちもちつるつるとして柔らかい白玉粉は、まずお彼岸団子には向いていません。
柔らかすぎて全然積むことができないためです。
また、白玉粉より少しかたいもので「だんご粉」というものがありますが、こちらもちょっと崩れやすいのであまりお薦めはできません。
タイミング次第では、上手に積むことができる場合もあるようなのですが、それだと少し心もとないですよね、
名前的には最適な感じがしますが、そうではないのです。
そして、お彼岸団子を作るのに最も適しているのが「上新粉」というものです。
積み上げていく上では、やはり出来上がった団子の固さが非常に大切なポイントになります。
以下で作り方を説明しますが、蒸す作業があるなど、若干面倒だと感じる部分もあります。
しかし、出来上がってから崩れる心配がほぼほぼありませんので、お薦めです!
上新粉を用いた団子の作り方レシピ
用意する材料:上新粉、塩、60度程度のお湯
<手順>
①上新粉とひとつまみの塩をよく混ぜる
②①にお湯を少しずつ入れる。(※一度に一気に入れない)
③全体をよくこねてなじませる。(※火傷しないように、素手ではなくしゃもじや菜箸でこねる方がいい)
④生地が柔らかくなってきたら、ちょうどいいサイズを手に取り、丸めていく
⑤全て丸めることができたら、お供えする形に積んでおく。(※完成してからではなく、先に積んでおくのがポイントです)
⑥蒸し器に投入し、10~15分程度強火で蒸す。
以上が、お彼岸団子の作り方になります。
次に、美味しい食べ方について説明します。
お彼岸団子の美味しい食べ方&アレンジ
上記の流れで完成した団子は、全く味がついていないです。しいて言えば少しの塩味がついている程度でしょう。
これだと食べるにはあまりにも寂しいですので、やはり色々と自分好みの味付けをしてカスタマイズしたいところです!
代表的な味付けとしては、あんこ、砂糖醤油、黒蜜などがあります。
また、仏前からお下げした団子をもう少し調理をしたい!という方は、再度火を通してみたらしあんやお汁粉を作るというのもいいですね。
団子をいただくタイミングとしては、当然ですがお供えをした後になります。
お供えする時間は何時間必要というような決まりはありません。できるだけ傷まないうちに、仏前から下げ、早めに食べるのがいいでしょう。
特に秋分の日の頃はまだまだ暑さが残り、食べ物が傷む危険性も大きな時期であります。
せっかくお供えしたもので、食中毒を起こしたりお腹を壊したりしていては、仏様が心配してしまいますから、自分たちの健康面も考慮しておくことが大切です。
また、仏前に長期間お供えをし、傷んでしまったから食べずに捨てるというのもよくありません。
本当に傷んでしまった以上、食べる訳にはいかないというのは仕方ないですが、そもそも捨てるようなものをお供えしたということ自体、仏様への失礼にあたります。
当日の気温や家族の外出状況等をよく考えた上で、団子をお供えするということが、どちらにとっても素晴らしい供養となるのです。
まとめ
この記事では、その団子に着目をして、「お彼岸に団子を供える意味や由来」「お彼岸団子のお供えの仕方」「団子の作り方と美味しい食べ方(いつ食べるのが良いのか)」という流れで説明をしてきました。
私も実際に自分で団子を作ってみた経験が何回かあるのですが、これがなかなか形が整わず、難しいのですね・・・。供養のために作ったのではありませんが、とてもではないですがお供えできるものではありませんでした(笑)
しかし、そうやって苦労するものだからこそ、より心が込められて故人に喜ばれるという側面があるかもしれません。
また、味付けも色々と自分好みにカスタマイズできますので、お供えの後に下げていただく場合にも、みんなで食事を楽しむことができるでしょう。
お彼岸の中日は祝日でもあるため、時間が確保できる方も多いはずです。
せっかくの休日に休みたい気持ちも先行するかとは思いますが、故人に感謝の気持ちを最大限伝えるべく、重い腰を上げて団子作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?